『シャーロック・ホームズ』に思う

TV版ホームズに再びハマっている

今、NHKのBSで『シャーロック・ホームズの冒険』っていう番組を再放送でやっているんですけど、観たことある人いますかね?

イギリスの「グラナダTV」っていう放送局が、1984年から放映していて、日本でも、当時、NHK総合で放送してました。ホームズの下宿先であるロンドンのベーカー街を、大がかりなセットを使って忠実に再現したことで、話題になりました。

私がまだ、小学生の頃の話です。今やっているのは、4Kノーカット版です。

ここで、ホームズ役をやっている俳優さんがものすごく、カッコいいんですよ。ジェレミー・ブレットっていうんですけど、足が長くて、スラッとして、凛としていて。黒く長い、インバネスコートを本当に、上品に着こなしていました。

ホームズっていう変人を演じることもあって、動作ひとつ、ひとつがスカした部分が多くて、わざとらしいところも多い。でも、それが、もう、なんというか、いや、だからこそ、カッコよかった。

原作のホームズももちろん、魅力的なんだけど、「シャーロック・ホームズ」って言ったら、ジェレミー・ブレットが真っ先に浮かんでしまう小学生でした。

ホームズにあこがれて警察官になる夢をもった

時を経て、大学生になった私は、就職先を決めるにあたり、「警察官になれたらいいなあ」という夢を抱きました。それは、少なからず、小学生の頃から憧れてきたホームズの影響があったと思います。

様々な情報から、あらゆる可能性を分析し、冷静沈着に行動。感情や私情を排して論理的な推理を組み立てていく。やがて、ひとつの真実にたどり着く…。ホームズみたいなことをできる公な仕事と言ったら、警察官かなあという感じで考えていました。

でも、その前に、「どうしてもホームズが住んでいるイギリスで暮らしたい!」という想いが捨てきれず、就職はお預け。1年間という期限付きで両親の協力を取りつけ、渡英しちゃいました。

帰国後、本当に警察官になろうと思ったんですけど、採用試験の体力検査で貧血起こしたりして、「これは向いていないんだな」と悟り、挫折。別の人生を歩むことになりました。

「自分が抱いてきた夢を、実現できないことがあるんだ」というショックがじわじわと効いてきて、試験の不合格後は何をする気にもなれませんでしたよ。

『見ると観察するのは大違いなんだよ』

今、夢と希望と挫折という想いが詰まったテレビ番組を改めて観ていて、思ったんですよ。「あ、自分って、別に警察官になりたかったわけじゃないんだなあ」と。

違うんだ。ホームズに憧れを抱いたのは、さっきも書いたけど、「様々な情報、状況からあらゆる可能性を知り、論理立てて、自身の真理にたどり着く」っていう要素のほうだったんですよ。

警察官になれたかどうかは、問題じゃない。それよりも、自分の人生に安らぎを見つけられたかどうか、そっちの真理にたどり着きたいんじゃないか?そう思ったんですよね。

そういう視点で観れば、私は間違いなく、小学生の頃の熱い想いを追い続けていますよ(笑)。お前は、どっちに向かえば、お前らしく生きられるの…?うん、たぶん、道は外してないさ。そのまま進んで行け!

残念ながら、ジェレミー・ブレットは、私が渡英する3年前の、1995年に亡くなりました。新聞で訃報を知った時は、本当にショックでした。後に、精神的にも、体力的にも大変だったことを知り、そんな中、多くの人に影響を与えてくれていたんだ、と目頭が熱くなったのを覚えています。

ジェレミー・ブレットには会えなかったけれど、その代わり、何人もの素敵なイギリス紳士、淑女たちに会うことができました。そして、今も、自分の真理に向き合い続けているのだとしたら、小学生の時に抱いた夢は叶ったのです。

『君はね、ただ目で見るだけで、観察ということをしていない。』

ホームズが、相棒のワトスンによく言っている言葉です。なんだか、自分も、いろんなところで言われてきたような気がします。叶った、叶わなかった、うまくいった、ダメだった…。「今、君が観ているものは、真実なのかい?」ホームズは、きっと、これからも、世の人に問いかけ続けます。

素敵な夢をありがとう、シャーロック・ホームズ、そして、ジェレミー・ブレット!あなた方は、永遠に不滅ですっ!

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