突然の訃報に思ったこと

職場での急な訃報

5日前のことだ。朝、会社の事務所に入り、車両点検の準備をしていると、「リュウタくん、昨日は休みだったのかい?」と先輩が尋ねてきた。

 

「はい…」と私。「そうか、そこの、回覧、読んでごらん。残念なお知らせだ。」

 

どうせ、ボーナスが出ないだの、給料減るだの、ロクなもんじゃないだろう、と高を括って目を通した瞬間に、「えっっ??!!」と思わず、声をあげてしまった。

 

そこには、今まで、事務所の経理として働いてくださっていた、パート事務員さんの急な訃報が記されていた。

 

享年は60歳より2つ手前。「病気のため」と言う理由が添えられていたが、1週間前にお会いした時は、お元気そうな姿で働いていた。

 

「びっくりだよなあ。話によると、心臓だったらしい。心筋梗塞という話らしいけど…。」

 

先輩は、俺も信じられないよ、という表情をした。

 

私は、この方とは、事務的な話のみで、プライベートな話も、雑談もしたことがなかった。ただ、初めてお会いしたとき、「綺麗で、性格の良さそうな人が入ってきたなあ」とは思った。

 

実は、享年を聞いて、二度びっくりした。一回りサバを読まれたってわからなかった。それほど、若く見えたのだ。男ばかりの職場ということもあって、やはり、たちまち人気となった。ちなみに、既婚者だった。

 

旦那様が、亡くなった次の日、出勤日だった当人に代わって、訃報を伝えてくださった。最愛の奥様が急にいなくなったショックは、とてもとても、推し量ることはできない。考えただけで、辛くなった。

伝えられなかった想い

私は、自分の仕事が終わったら、さっさと帰って、自分の時間を大事にするというのが日課だ。なので、帰り際に、女の人と話をして油を売るっていうのが苦手だった。

 

本当は、ちょっとだけ、どんな人生を歩んできたのか、興味があったのだけれど。

 

2年ぐらい、一緒に働かせてもらったと思う。会話は、車内で売ってきた定期券や回数券の経理報告をするだけのものだった。しかし、性格の良さはよく伝わった。素敵な人だった。

 

気のせいだったとは思うのだが、仕事が終わって、そそくさと帰る私を、なぜか、毎回、じっと見ている気がした。

 

「そんなに、私と話をしたくないのかな?」って思われただろうか?もし、万が一、そのように感じ、気を悪くされたら、本当に申し訳ないと思った。そうじゃないんですよ。ちょっと、恥ずかしかっただけだったのです。ごめんなさい。

 

もう、なにがあっても、なにも伝えられないことが、今更ながら、少し、悔やまれる。

「生きてきてよかった」と思っていてほしい…

「もう、ここでは会えないんだ…」そう思った瞬間、胸がキュッと反応した。好きだった女性と、突然会えなくなる切なさに似た感じだったが、もうひとつ、それ以上のなにかが去来した、そう思った。

 

それは、「亡くなるまでの人生、急だったとはしても、最後の瞬間にでも、幸せだった、と感じることができただろうか?」という気持ち、いや、願いだった。

 

急な疾患だと、そんなふうには思う余裕はなかったかもしれない、体の痛みに耐えるのが精一杯だったかもしれない。それでも、直前にでも、「生きてきて、よかった」そう、思ってくれたことを願っていたのだ。

 

私は、思いが分かりやすいぐらいに顔に出るとよく言われる。誰にも、なにも言われなかったが、もしかしたら、職場の仲間には、元気がないと思われたかもしれない。

 

実は、ここ一週間、ことあるごとに、そんなことを考えていた。急な死について。

 

心からのご冥福をお祈りします。そして、短い出会いだったけれど、今まで、本当に、ありがとう。

死と向き合うために

人の死とは、生まれた順番にならないことはよくわかっているつもりなのだが、やはり、理性と感情は一致しない。そういうものだと言ってしまえば、それまでなのだけれど。

 

今回の急な訃報で、また、「死」というものが徐々にやってくるものとは限らないことを改めて、痛感させられた。

 

このブログでは、「幸せかどうか、を考えるよりも、今やっていくことを淡々とやっていくことこそ生きることだ」と言ってきた。今も、その思いは一緒だ。

 

ただ、死を迎える瞬間に、「生まれてきて、本当に良かった」そう思える生き方というのは、常に、意識しておいた方がいい。自分は、今、そういう生き方ができているか?

 

職場から、ひとつ、大切なことを教わった。

 

このことを、忘れないように、これからも、経験するであろう、身近な人の死。そして、自分の死に向き合えるように、このことを記しておこうと思う。

 

忘れっぽい、自分のために。

 

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