損得に気づけば人間関係は変わる
新人のころはナメられた
私は主に路線バスの運転をしていますが、職業柄、不特定多数のお客様と接する機会があります。
まあ、接するといっても、降りるときに、「ありがとうございました」と言うだけなんですけれど。なかには、いろんなお客様がいて、ぶっきらぼうに質問してくる方とか、お金を料金箱に入れる際に叩きつけるように入れてく方とか、あまり、愉快ではない行為に接することも、たまに、あります。
こういう、いわゆる「不快なこと」って新人だった頃に多かったんですね。で、こちらも考えるわけです。「どうしたら、こういう不愉快なことをされずに済むのかなあ」って。
で、やっていくうちに分かってきたのは、けっこう、「どういう人がこのバスを運転してるのかな?」って見てるお客様もいるってこと。私は、実際の年より若く見られることが多いので、まあ、つまり、ナメられることが多かったようです。
堂々として、落ち着いていると不愉快なことが減少する
そこで、仕事に少しずつ慣れてきたころから、試したことがあります。まず、運転操作で使うシフトレバーのチェンジやバスの開閉ボタン機器類操作を丁寧かつ、素早く、そして、軽く行うようにしてみました。
まあ、初めのうちは、ドタバタして無理してる感が否めないのですが、そのうち、手際よくできるようになっていきました。次に、声の調子というかトーンを少し落として落ち着いたアナウンスを演出します。もちろん、これは、ぶっきらぼうに言うとかではないです。あくまで、こっちは落ちついているっていう演出です。
そんなことをやり始めて、しばらくすると、上に示したような、不愉快な出来事が極端に減少したんですよ。演出とはいえ、行動をそのようにすると、なにやら顔も落ち着いてくるみたいで、同僚に、「いっつも、涼しい顔で運転してるよね〜」と言われるまでになりました。
私の接客対応は、他の運転手の方に比べたら、お世辞にも決してよいものとは言えません。ですが、特にお客様からのクレームもなく、自分の好きなように対応させてもらっています。理不尽な物言いをするお客様に対しては、しっかりと、自分も感情を露わにして反論しますしね。
それで、クレームがきたら、それは、それでしかたのないことだと思っています。むしろ、自分が思っていることを堂々と伝えられたことのほうに清々しさを感じます。逆に、新人だった頃、こっちが自信なくてお客様に媚びていた時のほうがいろいろ言われることのほうが多かったものです。
その守っているものに、損得はあるのか?
他の人間関係も、一緒だと思います。みんな、なにかを守ろうとするから、逆に、不快な出来事に遭遇するのです。その守ろうとする「なにか」とは例えば、「この人と仲良くしとかないと、あとで面倒だ」とか、給料さげられちゃうとかね(笑)。
でも、自分の思う通りにやってみると、案外スムーズに行くし、逆に困ったことは減少していきます。むしろ、気持ちよく生きられることのほうが多くなります。だって、自分の思う通りに、やっていくのだから、気持ちいいに決まっています。当たり前です。
その気持ちいい生き方をするために、その関係に、「損得」が存在していないか、調べてみるとよいと思います。それを失ったことで「たいして得になることも、損することもない」って気付けば、物事は自ずから静けさと、穏やかさ、それに、楽しさを取り戻すものです。
それと、もうひとつ。「自分は、そんなキャラじゃない」とか、「自信がない」とかっていうのも、それは勝手に思っているだけ。自信がなくて全然OKです。とにかく、そんな風に行動を変えてみる(堂々とするようにしてみる)と、不思議と周りも変わっていくものですよ。
私も最近、お客様から話しかけられることが多くて、以前より仕事が格段に楽しくなりました。日常の何気ない会話に喜びを見出す。これぞ、人生修行の醍醐味です(大嘘です 笑)